セントラルキッチン設計・施工|HACCP対応で失敗しない食品工場づくり
- 2 日前
- 読了時間: 11分
セントラルキッチン設計・施工|HACCP対応で失敗しない食品工場づくり
飲食店の多店舗展開、冷凍食品や惣菜の製造、飲食店への食材供給などを目的に、セントラルキッチンを新設・改装する企業が増えています。
しかし、セントラルキッチンは、一般的な飲食店の厨房と同じ考え方では設計できません。
取り扱う食品や製造工程によって、必要な営業許可、区画、厨房機器、温度管理、給排水、換気設備などが大きく異なるためです。
「建物を契約してから、必要な許可が取れないことが分かった」
「厨房機器を購入したものの、電気・ガス・給排水容量が足りなかった」
「完成後に保健所から区画や手洗い設備の変更を求められた」
このような失敗を防ぐためには、物件契約や工事着手の前から、製造工程とHACCPを踏まえた計画を立てる必要があります。
この記事では、セントラルキッチンや食品加工場を設計・施工する際に押さえておきたいポイントを、店舗設計と厨房設備の両方の視点から解説します。

▼無料相談はこちら(お問い合わせフォーム)
セントラルキッチンとは
セントラルキッチンとは、複数の店舗や販売先で使用する食品を、一か所で集中して製造・加工する施設です。
主な用途には、次のようなものがあります。
飲食店各店舗へ配送する仕込み済み食材の製造
惣菜や弁当の製造
冷蔵・冷凍食品の製造
菓子やパンの製造
ソース、スープ、ドレッシングの製造
食肉・魚介類・野菜の下処理
真空包装や急速冷却を行う加工食品の製造
セントラルキッチンを設けることで、店舗ごとの仕込み作業を減らし、味や品質を均一化しやすくなります。
一方で、ひとつの施設で大量に製造するため、万が一衛生上の問題が発生すると、その影響が複数店舗や広い販売地域に及ぶ可能性があります。
そのため、一般的な飲食店厨房以上に、衛生管理を前提とした施設づくりが重要です。
HACCP対応とは、設備を入れるだけではない
HACCPとは、原材料の受け入れから製造、保管、出荷までの工程において、食中毒や異物混入などの危害要因を把握し、重要な工程を継続的に管理する衛生管理の方法です。
日本では2021年6月1日から、原則としてすべての食品等事業者に、HACCPに沿った衛生管理への取り組みが求められています。厚生労働省「HACCP(ハサップ)」
ただし、「HACCP対応の厨房機器を設置すればよい」というものではありません。
HACCPに沿った衛生管理では、次のような取り組みが必要です。
製造工程ごとの危害要因を確認する
衛生管理計画を作成する
管理方法や確認方法を決める
温度、清掃、点検などを記録する
問題が発生した場合の対応方法を決める
定期的に計画を見直す
厚生労働省では、業種や製造品目別の手引書も公開しています。
建物や厨房設備は、この衛生管理を無理なく継続できるように設計する必要があります。
つまり、HACCP対応のセントラルキッチンとは、日々の衛生管理を実行しやすい施設をつくることです。
セントラルキッチン設計で重要な7つのポイント
1.製造工程を先に整理する
セントラルキッチンの設計は、部屋の間取りから考えるのではなく、製造工程の整理から始めます。
例えば、冷凍惣菜を製造する場合は、次のような流れが考えられます。
原材料の搬入
検品
冷蔵・冷凍保管
下処理
加熱調理
急速冷却
盛り付け・包装
製品保管
出荷
この工程をもとに、必要な作業室、厨房機器、保管設備、通路幅を決めていきます。
製造品目や一日の製造量が曖昧なまま設計を進めると、作業スペースや機器能力が不足しやすくなります。
2.汚染区域と清潔区域を分ける
食品工場では、原材料を扱う区域と、加熱後・包装前の食品を扱う区域をできるだけ分けることが重要です。
代表的な区分は次のとおりです。
汚染作業区域:荷受け、原材料保管、野菜や魚の下処理など
準清潔作業区域:加熱調理、加工など
清潔作業区域:冷却後の盛り付け、包装など
必要な区画方法は、食品の種類や製造工程、施設を管轄する保健所の判断によって異なります。
すべてを壁で細かく区切ればよいわけではありません。作業効率、清掃性、温度管理、将来の製造量まで含めて計画する必要があります。
3.人・食品・容器・廃棄物の動線を交差させない
セントラルキッチンでは、次の動線をそれぞれ確認します。
作業員の動線
原材料の搬入動線
製造中の食品の動線
包装資材や容器の動線
完成品の出荷動線
使用済み器具の回収動線
生ごみや廃棄物の搬出動線
特に注意したいのが、搬入した原材料と完成品、洗浄前の器具と洗浄後の器具が同じ場所を通る計画です。
平面図上では納まっていても、実際に人が動くと交差が多く、衛生管理が難しくなるケースがあります。
設計段階で一日の作業を具体的にシミュレーションすることが大切です。
4.手洗い・洗浄・消毒設備を適切に配置する
手洗い設備は、単に設置すればよいわけではありません。
作業区域へ入る前や、作業内容が変わる場所など、必要なタイミングで使用できる位置に配置します。
また、次の洗浄設備も製造内容に合わせて計画します。
食材用シンク
器具洗浄用シンク
清掃用具の洗浄場所
食器洗浄機
消毒保管庫
長靴やエプロンの洗浄・保管場所
食材用と器具用のシンクを共用すると、作業が集中して衛生管理が難しくなることがあります。
5.清掃しやすく、水がたまりにくい構造にする
食品工場の床、壁、天井、設備には、汚れにくく清掃しやすい材料を選ぶ必要があります。
特に床は、次の点を確認します。
水や油に強いか
洗浄薬品に耐えられるか
滑りにくいか
排水口へ適切な勾配が取れているか
厨房機器の下まで清掃できるか
床に水がたまると、雑菌や害虫、転倒事故の原因になります。
排水溝の位置だけでなく、床勾配、グリストラップ、排水管の能力まで含めた計画が必要です。
6.温度管理・換気・結露対策を行う
食品工場では、室温や食品温度の管理が品質と安全性に直結します。
加熱機器が集中する厨房では、室温が上昇しやすく、冷却室や包装室に熱気が流れ込むこともあります。
そのため、次の設備を一体的に考えます。
冷蔵庫・冷凍庫
プレハブ冷蔵庫・冷凍庫
急速冷却機・急速凍結機
空調設備
給気・排気設備
フード・ダクト
結露防止対策
排気量だけを増やすと、室内が強い負圧になり、扉が開きにくい、空調が効かない、外部のほこりが入り込むといった問題が発生する場合があります。
排気と給気のバランスまで考えた換気計画が必要です。
7.電気・ガス・給排水の容量を確認する
セントラルキッチンでは、大型の厨房機器を複数使用することがあります。
物件を契約する前に、少なくとも次の内容を確認しましょう。
電気の受電容量
動力電源の有無
ガスの種類と供給容量
給水管の口径と水圧
排水管の口径と排水経路
給湯設備の能力
排気ダクトの経路
室外機や排気ファンの設置場所
容量が不足している場合、キュービクル、ガス配管、給排水管などの大規模な改修が必要になり、予算を大きく超えることがあります。
セントラルキッチンづくりでよくある失敗
物件契約後に保健所へ相談する
最も避けたいのが、物件契約や工事着手の後に保健所へ相談することです。
取り扱う食品や製造方法によって、必要な営業許可や施設基準が異なります。
大阪市も、工事を始める前に設計図面を持参し、設備が基準に合っているか食品衛生監視員へ相談することを推奨しています。
図面の段階で事前相談を行えば、完成後の手直しリスクを抑えられます。
厨房機器から先に決めてしまう
価格の安い中古厨房機器を見つけ、先に購入してしまうケースがあります。
しかし、機器の能力、設置寸法、電気容量、ガス消費量、給排水接続が計画に合わなければ使用できません。
厨房機器は、製造品目、一日の製造量、工程、設備容量を確認したうえで選定する必要があります。
現在の製造量だけで設計する
開業時の製造量だけで厨房を設計すると、取引先や店舗数が増えたときに対応できなくなります。
設備を最初から過大にする必要はありませんが、将来的な機器増設スペースや電気容量、配管ルートは検討しておくことが重要です。
清掃・点検スペースを確保していない
厨房機器を隙間なく配置すると、機器の裏側や配管周辺を清掃できません。
故障時の点検や機器交換も困難になります。
設置できるかどうかだけでなく、清掃、修理、交換まで考えた配置が必要です。
セントラルキッチン設計・施工の進め方
STEP1.製造品目と製造量を整理する
製造する食品、原材料、一日の製造量、販売先、保存方法、配送方法を確認します。
STEP2.製造工程表を作成する
原材料の搬入から製品の出荷まで、工程と温度管理のポイントを整理します。
STEP3.物件とインフラを調査する
面積、天井高、電気、ガス、給排水、換気経路などを現地で確認します。
STEP4.保健所へ事前相談する
取り扱う食品と製造工程を説明し、必要な営業許可や区画、設備について確認します。
STEP5.厨房レイアウトと機器を決める
製造工程と作業動線に合わせて、厨房機器、作業台、シンク、冷蔵設備などを配置します。
STEP6.設備設計と工事費を調整する
内装、給排水、電気、ガス、空調、換気、防水、厨房機器を含めて工事費を整理します。
予算を超える場合は、仕様変更や中古厨房機器の活用など、運営に支障のない範囲でVE案を検討します。
STEP7.施工・検査・営業開始準備を行う
工事完了後は、設備の試運転、保健所の施設確認、清掃、衛生管理計画の整備などを進めます。
新品と中古厨房機器を組み合わせてコストを調整する
セントラルキッチンでは、多数の厨房機器が必要になるため、すべて新品でそろえると初期費用が大きくなります。
一方で、価格だけを優先して中古機器を選ぶと、能力不足や故障、衛生管理上の問題につながることがあります。
中古機器を採用しやすいものと、新品を優先したいものを分けて考えることが重要です。
例えば、作業台、シンク、棚などのステンレス製品は、状態や寸法が合えば中古品を活用しやすい設備です。
一方、製品の温度や品質を左右する冷却・冷凍設備、製造の中心となる加熱機器については、使用頻度、年式、部品供給、保証内容まで確認する必要があります。
新品と中古を適切に組み合わせることで、必要な性能を確保しながら初期費用を調整できます。
E-テンポのセントラルキッチン設計・施工
E-テンポでは、大阪を中心に、セントラルキッチン、食品加工場、飲食店厨房の設計・施工に対応しています。
当社の特徴は、店舗内装だけでなく、厨房機器と厨房設備を含めて一括で計画できることです。
製造工程に合わせた厨房レイアウト
HACCPを踏まえた区画・動線計画
保健所への事前相談を前提とした設計
内装・給排水・電気・ガス・空調・換気・防水工事
厨房機器の選定・販売・設置
新品・中古厨房機器を組み合わせたコスト調整
既存建物や居抜き物件を活用した食品加工場への改装
稼働後の厨房機器メンテナンス
セントラルキッチンは、内装会社、厨房業者、設備業者へ別々に依頼すると、設計と設備の間に食い違いが起こることがあります。
設計から厨房機器、設備工事まで一括で確認することで、施工後の容量不足や配置変更などのリスクを抑えられます。
よくあるご質問
既存の倉庫や古民家を食品工場に改装できますか?
建物の状態、用途、電気・ガス・給排水・換気設備によって判断します。
改装自体は可能でも、大規模な設備更新が必要になる場合があります。契約前に現地調査を行うことをおすすめします。
HACCP認証の取得まで依頼できますか?
HACCPに沿った衛生管理と、第三者機関によるHACCP認証は同じではありません。
E-テンポでは、衛生管理を実施しやすい施設の設計・施工を行います。認証取得が目的の場合は、求める認証規格を確認したうえで、専門機関との連携を含めて計画する必要があります。
保健所への相談は、いつ行えばよいですか?
物件契約前、または遅くとも工事着手前に行うのが理想です。
製造品目、工程、厨房機器配置、区画、手洗い設備などが分かる図面を準備すると、具体的な相談ができます。
まだ製造量が決まっていなくても相談できますか?
相談可能です。
想定する商品、販売先、店舗数、製造頻度などを整理し、必要な厨房面積や設備能力を一緒に検討します。
まとめ|物件契約前の計画が食品工場づくりの成否を分ける
セントラルキッチンや食品加工場をつくる際は、見た目や厨房機器の価格だけで判断してはいけません。
重要なのは、製造工程、衛生区画、作業動線、温度管理、清掃性、設備容量、保健所の施設基準を一体で考えることです。
特に、物件契約後に設備容量不足や許可上の問題が判明すると、計画の大幅な変更や追加工事が必要になることがあります。
大阪・関西で、次のような計画をご検討中の方は、計画初期の段階からE-テンポへご相談ください。
セントラルキッチンを新設したい
倉庫や既存店舗を食品加工場へ改装したい
HACCPを踏まえた厨房レイアウトを作成したい
冷凍食品や惣菜の製造を始めたい
保健所への相談前に図面を作成したい
厨房機器と工事費をまとめて相談したい
新品・中古機器を組み合わせて予算を調整したい
製造する食品や物件がまだ決まっていない段階でも、ご相談いただけます。
セントラルキッチンの設計・施工、厨房機器、食品加工場の改装については、E-テンポまでお気軽にお問い合わせください。
▼無料相談はこちら(お問い合わせフォーム)



コメント