【HOW TO|店舗撤退は経営戦略のひとつ】
創業時は書店でも開業関連の本はたくさんあり、また様々な方からの協力があったと思います。
しかし閉店や退店となりますと、正しい店舗売却や閉店、譲渡、原状回復に関する情報はあまり出回っておりません。
どんな飲食店であっても、永遠につづくお店はありません。
店舗撤退には様々な理由でがあり、単に売上不振という理由だけではありません。
・業績好調のため、よい立地や広い坪数等の物件に移転
・人材不足による撤退
・別事業にヒト、モノ、カネを集中させるために撤退
など、
なかには現状のまま無理に経営を続けると、体力的・金銭的に大きな負担になることもあります。
出店だけでなく、閉店にもコストはかかります。
閉店となると、個人経営の小規模なお店であっても撤退コストは少なくとも100万弱ほどかかることがあります。
しかしほとんどのお店はそれよりも多額の閉店費用がかかることがあります。
場合によってはその状況を、
店舗撤退を出店と同じく経営戦略のひとつとして捉えて、前向きな「戦略的撤退」としての視点を持つべきです。
できるだけ閉店コストを抑える、もしくは店舗売却や譲渡を有利な条件で事業撤退する
そのためには、店舗閉店・売却・譲渡また原状回復やスケルトン返しに関する最低限の知識が必要です。
そこで店舗撤退を戦略的に準備できる内容をまとめました。
万が一のためのリスクヘッジとして必要な知識を得ておくことは必要なことです。
もしいま、店舗撤退についてご相談したいということであれば、
閉店にかかる費用をシュミレーション
お店の撤退時には、賃貸契約を解約して家主に引渡しをします。
ただし、「どのような形で」「いつ頃」引渡しをするかは、解約条件によります。
預けていた保証金は返金されるものの、解約条件を満たすために、
原状回復またはスケルトン返しの工事費用や一定期間の空家賃が発生することがあり、閉店時には多額のコストがかかります。
閉店にかかる費用
賃貸借の解約ルールは物件それぞれで異なりますので、
撤退時に実際どのような費用が発生するのか、まずは簡単に事例をもとにシュミレーションをしたいと思います。
【シュミレーション】20坪・家賃30万の飲食店撤退の場合
・店舗撤退し別事業へ集中
・解約予告期間6カ月
・解約引渡は原状復帰
(坪7万解体費を想定)
・保証金120万 償却20%
撤退コスト総額:344万
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※6ヶ月分の家賃 :180万
※解体費用(坪7万):140万
※保証金償却 :24万
閉店費用1:原状回復費
賃貸契約書には、解約時にどのような状態で返さなければならないかの記載があります。
・原状回復(入居する前の状態に戻す)
・スケルトン返し(コンクリート剥き出し状態の躯体のみの状態)
解約条件として、工事を必要とする内容がほとんどです。
階数などの物件条件にもよりますが、工事費用は坪単価5~10万円ほどが目安です。
原状回復、解体工事はどこまですればよいか?
まずは家主様、業者と事前に相談することをおすすめします。
次のテナント探しに有利になるような原状回復、解体がご提案できれば、退店コストも大幅に下げることも可能であるからです。
閉店費用2:空家賃
閉店の意志が固まり、その後家主へ解約届を出しても、すぐに退去できるわけではありません。
物件の契約上、解約には予告期間が設けられているためです。
これは何のためかと言いますと、家主にとって物件に空きが出ないよう次のテナント募集への猶予期間としてです。
退去日の何カ月前に通知が必要かはそれぞれの賃貸契約によって異なります。
ちなみに一般的な解約予告期間は6ヶ月です。
家賃15万の店舗でも90万の費用がかかることになります。
お店が閉まっている状況でも、契約上、賃料を払う必要があるため、ご注意が必要です。
保証金返金
保証金は礼金と異なり、預けているお金です。
基本的には物件解約後には全額が戻ってきます。
ただし、以下によっては、保証金減額、返還されないケースもあります。
・家賃や水道光熱費に滞納があった
・原状回復工事・スケルトン返しがされていない、不十分であった
・契約書に保証金償却の取り決めがあった
※「償却」とは、返還時に保証金が差し引かれる取り決め
※保証金返金日は賃貸契約書にて指定されており、数か月先を定めることもあるので注意
損金を減らすために、戦略的に閉店、売却をおこなう
前述のように、店舗撤退には数百万のコストが発生することは珍しくありません。
ただし、戦略的に閉店・売却をおこなうことで損金を減らし、逆に店舗の売却金を手にすることも可能です。
閉店・売却について正しい知識を身に付けて、
最適な方法を選べるようにしっかりと準備していきましょう。
居抜きで売却
居抜きの売却とは、
内装や設備、厨房機器などを、次のテナントの方に売却する方法です。
賃貸店舗では、家主の了承があれば居抜きの売却は可能です。
次のテナントの方は以下の2つの契約を結ぶことになります。
①現テナント(=売主)と造作売買契約
②家主と賃貸契約
現テナント(=売主)は原状回復工事にコストをかけることなく、そのままの状態で退去。
また家主はテナントに空白期間がなく、新たな借主が入居し、テナントの方も低コストで開業できるメリットがあります。
売却期間をうまく調整できれば、
空家賃を避けることができてギリギリまで営業が可能です。
居抜き物件で売却するメリット、注意点まとめ
メリット
①原状回復(解体工事)の免除
②空家賃のリスク減
③造作譲渡成功による売却金獲得
注意すべき点
貸主・管理会社に居抜き売却について、事前の了承が必要
高く売却するには
高く売却するポイントになってくるのが、
「解約予告のタイミング」です。
解約予告を出す前に、買取先を探すことで、
売却金を下げにくくする効果があります。
解約予告を先に出してしまうと、
契約書に従って退去日が決まってしまい、
買い手の視点からは、「目の前に迫っている解体工事を避けるため、値段を下げてでも売りたいはず!」
と思われてしまい、価格交渉の材料を与えてしまうことになります。
あえて解約予告を出さないことで、そのような事態を避けることができます。
また希望額で売却できない場合は、そのまま営業を続ける選択肢もあります。
業務委託
業務委託とは、家主もしくは借主が別の方に店舗運営を依頼する契約形態のことをいいます。
借主が業務委託をする場合、家主との賃貸契約はそのまま続けた状態にします。
テナントによっては、契約上禁止されていることもありますので、
必ず事前に管理会社もしくは家主に確認するようにしてください。
メリット
・月々安定した収益が入る
・運営の手間から解放される
注意点
・賃貸契約上、禁止されている場合がある
・委託先の不払い、解約で収入が途絶える場合がある
(その場合でも家主には賃料を払い続けなければならない)
業務委託を成功へと導く3つのポイントまとめ
①契約内容を決める
トラブル防止のため、賃貸契約上で禁止されている内容は、委託契約でも禁止にしましょう
②適切の委託料を設定する
周辺賃料相場を十分に考慮し、過度に委託先が負担がないように委託料を設定しましょう
③解約になった場合を想定しておく
委託先が撤退した場合でも、事前に対策と立てましょう。
一般的な方法として、
「保証金を預かる」「解約金が発生する」など。
まず保証金を預かっておき、その中から解約金を差し引いて、残りを返金します。
業態転換
業態転換とは、業態を変えて、収益増を図る手段です。
うまくいかなければ新たな投資が必要なだけに慎重に判断をしましょう。
どのように業態を変えたらよいか?
・そのエリアには競合が少なく需要見込める業態へ変更
・二毛作業態 昼も夜も利益が出せるお店へ変える
まとめ:戦略的に撤退・売却する方法
店舗撤退、売却が終点ではありません。
経営者にとっては、新たな事業、新たな人生へのスタート地点です。
このページをご覧いただいた皆様におかれましては、
切羽詰まった撤退、売却に追い込まれるのだけは何としても避けていただきたいです。
早いうちに知識や情報を入手し、行動に移せるかがうまくいくかのカギです。
戦略的な撤退を考える一助になれば幸いです。
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